【お正月を迎える男根様】
【お正月を迎える男根様】
仙台市泉区、ヨークベニマル泉古内店の裏手から東北自動車道を渡る、歩行者専用の細い橋があります。
その橋を渡ってすぐの場所に鳥居が立ち、奥には小さな祠(ほこら)がひっそりと佇んでいます。
祠の中に祀られているのは、いくつもの《男根様》。
中央の神棚に納められた男根様は、長い年月をこの地で過ごしてきたことが一目で分かります。
周囲にも大小さまざまな男根様が供えられ、形や大きさ、色も実に多様で、ひときわ大きなものには赤く彩色が施されていました。
神棚の前には、お正月を迎えるための鏡餅が供えられ、今もなお氏子の方々によって丁寧に守られていることが伝わってきます。
なぜこの場所に男根様が祀られるようになったのか、詳しい由来は分かりません。
しかし、日本各地に残る男根信仰は、本来「性」を卑猥なものとしてではなく、命を生み、つなぐ力として尊び、共同体全体で受け止めてきた歴史を物語っています。
一方で、現代の社会では、「性」はしばしばタブー視され、語ること自体が避けられがちです。
とりわけ男性の身体や性は、「強さ」や「支配」と結びつけられたり、逆に笑いや揶揄の対象になったりすることも少なくありません。
性教育に携わる立場として、この祠の前に立ち、
性をどう語り、どう学び、どう尊重し合うのか。
そして、ジェンダーに基づく固定的な役割や力関係を、どのように問い直していくのか。
そんな問いを改めて突きつけられました。
性は、恥ずかしいものでも、支配の道具でもなく、
一人ひとりの尊厳と深く結びついたもの。
お正月を迎える静かな祠の前で、その原点に立ち返る時間になりました。


